海揺録

自律とか、自由とかが、たぶんテーマです。以前は、精節録というブログ名でした。

自己超越

大きな器に水が入っている。

 

長い時間をかけて、中の水は蒸発していく。

 

いずれ、器は空気で満たされる。

 

この世界には、多様な色彩をした雨が降り注いでいる。

 

少し歩けば、そうした雨が混ざり合った池や湖も見つかる。

 

水を貯めるのは、時代を追うごとに容易になっていく。

 

その容易さの反面で、空気で満たされている状態は珍しくなる。

 

必死で走っている最中だと、深い呼吸を行うのが珍しいことに似ている。

 

器を空にしているときに、中にある空気を感じられるかどうかが、

虚無感や焦燥感を味わうのか、満足感や充実感を味わうのかを分けている。

 

頭に流れる雑音から、自分の呼吸へと焦点を戻す。

呼吸の速度を少しずつ落としていく。

 

何かのために、今があるのではなく、

今のために、何かがあるのだということを思い出す。

 

成果を喜ぶために、過程があるのではなく、

過程を楽しんだ副産物として、成果が転がっているのだと視点を定める。

 

どこかに辿り着くために、旅があるのではなく、

旅のために、次の目的地が存在している。

 

今、この瞬間に、桁外れに最高な気分でいる自分をイメージする。

その自分が感じている感覚を味わう。

その感覚の慣性のままに、今日を生きる。

 

そして、そこに現れる矛盾や問題と真摯に向き合う。

この姿勢を自己超越的姿勢と呼びたい。