世にある何らかの現象を、理解しようと試みる。
そのときに、人は言葉に頼り、定義を考える。
定義は、前提や枠組みを必要として、
真理らしき何かを見つければ、自らをその箱に閉じ込めるかのように、生を捉える。
現代人の多くが、時間を無意識に気にしてしまうように、
浸透した概念は、我々の意識を占有し続ける。
元々、定義も、概念も、道具であったはずなのに、
いつの間にか、自らの手枷、足枷のように、なってしまうことは多い。
脳内で反芻される言葉が、その鎖を強く縛り上げていく。
緊縛の跡、それに伴う痛みを、悪魔は好む。
自らが使役していたつもりの「言葉」によって、
油断していると、我々は支配されてしまう。
皆の頭に響く悲しい音が、どうか風とともに流れますように。
静かな音の中にいるとき、心の波が、穏やかでありますように。
凪。