海揺録

自律とか、自由とかが、たぶんテーマです。以前は、精節録というブログ名でした。

咲かない花の影に。

もし、ある試みについて花が咲かなかった場合であっても、
そのために耕した畑や、準備した堆肥は、そこにある。

 

また、花が咲かなかったということは、
別のところに栄養が回っていくということでもある。

 


富に恵まれなくとも、清貧は徳を養う。
遊びのない状況であっても、そうして富が守られることがある。
力は貧弱であっても、それが知恵を磨く。
知能に靄がかかっていても、楽観は勇気の味方になる。
苦労を知らなくとも、高潔さは周囲を導く。
友が見つからなくとも、孤高さは特技を極めていく。
才能が拓かなくても、凡庸さは共感や友をもたらす。
名声がひとつもないならば、静寂は安寧を与えてくれる。
腰を据える地位がないとき、周囲の期待から自由な歩みがそこに生まれる。
不自由な状況から逃げられないならば、立ち向かう強さや意志が鍛えられる。
臆病な心を克己できなくとも、それが危険からの逃げ足を早くする。

 


目指すべき価値がなかなか手に入らないと懊悩しているとき、
その裏側にある価値が充実していく様子を感じたい。

 

ある価値を追い求めるとき、
同時に失ってしまう価値の重みを受け止めたい。

 

手が届かない頭上の雲から目を下ろすと、
足元に溢れている何かが、君の心に問いかける。

 

「君にとって本当に大切なものは?」