コンプレックスを虚栄で埋め合わせるというのは、人間の行動としてなかなかに多く、多様に見える。
弱さを覆うための刺青や一張羅。
貧しさからの逃避としての贅沢や豪遊。
無能さを誤魔化すための立派な経歴や看板。
目を逸らすことに慣れれば、その楽さが日々を流し、最初に向き合っていれば小さなコンプレックスであったはずが、次第に腐ってしまった死肉のように異臭を放ちはじめる。
羽織った着物の高級さで、どれだけ自身を覆い隠そうとも、腐臭は漂わずにはいられない。
手に入れた何かで、自らを支えようとするとき、所有への執着が人相を貧相に変えてしまう。
入手を過程に。欲望を簡素に。不快を正直に。毎日を等身大に。