大海に浮かぶ船。
指針なく投げ出され、どこに向かうかも分からず、
しかし、帆を張る。
前方遠くに島が見えるが、後方にもまた陸地らしき影が見える。
さて、自分の周りにも浮かぶ船。
近くの船はどうやら前方の島へ向かった。
少し離れたところに浮かぶ船は後方の陸地へ舵を切った。
空を仰ぐ。燦々と差し込む日差しが痛い。
ああ、目眩がする。
地平線を眺める。気になる輪郭との出会い。
さあ、面舵いっぱい。
大海に揺れる不安は、航路の決定によって静まった。
気がつけば、我先にと急ぐ。焦燥。
急いだ代償の破損。修繕は後回し。エンジンを蒸す。
いずれ、船は止まった。
苛立つが、それはあくまでも表面的なものに過ぎない。
そして、夜に襲う恐怖。焦燥の正体は枝葉。しかし幻影は巨大。
常に一番深いところで根を張っているそれは、自由との対峙だ。
彼を縛り付けることもまた一興。
彼と踊り歌うこともおそらく楽しい。
ただ、自由を飼い慣らそうとする試みはいずれ君の絶叫と共に放牧を迎える。
声を聴く。未来と現在の間にある声。
これと話をしよう。それが自由との対話だ。