とある小さな村に、一人の放蕩息子がいた。
幼い頃から何も考えずに欲望のままに生きる男で、村の人々からも「あの男は何をしてもすぐに無駄にする」と呆れられていた。
父親は村一番の富豪だったが、彼は一切その資産を活かす術を学ばず、ただ楽しみと酒に明け暮れていた。
ある日、彼は突如としてとてつもない幸運に恵まれた。
村で開催された宝くじで、驚くべき大金を手に入れた。
その額は父親が築いた資産を一気に超えるほどのものだった。
彼は、この運が自分の人生を変えると信じ、すぐにその富を手にして大都市へと向かった。
最初のうちは、彼も多少は慎重であった。
しかし、学びなき者の性は変わらず、次第に贅沢な衣服を揃え、高級な家を買い、大都市の最上位の社交場に出入りするようになった。
彼はますます自らの欲望に再び溺れてしまった。
毎夜、豪勢な宴を開き、どんどん人を招いては酒や食を振る舞う日々だった。
彼は、まるで自分の幸運が永遠に続くかのように信じ込み、何も考えずにお金を使い続けた。
やがて財産は減り始める。
それを認めたくなかった彼は、むしろ更に大きな賭けをし、富を増やそうと考えた。
だが、賭けに勝つという幸運は二度目には訪れなかった。
次第に大きな損失を抱え込み、ついには借金を背負うことになってしまった。
それでも、彼は運がまた戻ってくると信じ、無謀な行動を続けた。
ついに、彼は全ての財産を失い、友人も去り、かつての豪勢な生活は見る影もなくなった。
そして、一人きりで荒れ果てた住処に残され、村に帰ることすらできぬほど落ちぶれてしまった。
最終的に、彼は大都会の片隅で貧困に喘ぎながら息を引き取った。
宝くじに当たったことで一時的に幸運に見舞われた彼だったが、
その運を正しく扱う知恵がなかったため、かえってその運によって命を削られてしまったといえる。